a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン159 ルッケル瀬本阿矢「第2章 ヨーロッパ的原理としてのシュルレアリスムー日本における受容と変容」

ルッケル瀬本阿矢「第2章 ヨーロッパ的原理としてのシュルレアリスムー日本における受容と変容」(『シュルレアリスムの受容と変容』文理閣、2021年)。 1 日本のシュルレアリスムへの関心の高まり 2 イメージと言葉の剥離―瀧口修造と日本のシュルレアリス…

論文マラソン158 ルッケル瀬本阿矢「第1章 男性原理としてのシュルレアリスム」

ルッケル瀬本阿矢「第1章 男性原理としてのシュルレアリスム」(『シュルレアリスムの受容と変容』文理閣、2021年)。 1 「シュルレアリスト」とはだれか 2 男性シュルレアリストの描く女性の理想像 3 アナイス・ニンに見るシュルレアリスムの受容ーイメー…

論文マラソン157 桑原規子「恩地孝四郎の《『氷島』の著者・萩原朔太郎像》をめぐって―占領期における欧米人コレクターと創作版画の国際的評価」

桑原規子「恩地孝四郎の《『氷島』の著者・萩原朔太郎像》をめぐって―占領期における欧米人コレクターと創作版画の国際的評価」(『藝叢』23号、2006年)。 はじめに 1章 《『氷島』の著者・萩原朔太郎像》について 2章 占領期における欧米人コレクターと戦後…

論文マラソン156 費大為「始まりの20年 80年代と90年代の中国現代美術」

費大為「始まりの20年 80年代と90年代の中国現代美術」訳:秋山珠子(『アヴァンギャルド・チャイナ』図録、国立国際美術館ほか、2008年)。 背景 1. 80年代 Ⅰ 星星画会 Ⅱ "85ニューウェーブ('85新潮)"運動 2. 90年代 Ⅰ 海外における中国現代美術 Ⅱ シニカル…

論文マラソン155 角本麻衣子「マルセル・デュシャンと「射影」—1910年代の制作に関する一考察―」

角本麻衣子「マルセル・デュシャンと「射影」—1910年代の制作に関する一考察―」(『美術史論集』第11号、神戸大学美術史研究会、2011年2月)。 はじめに デュシャンとキュビスム 四次元の表象 吊るされたレディメイド 結びにかえて 〇グレーズやメッツァンジ…

論文マラソン154 小林俊介「難波田龍起・松本竣介・靉光の油彩技法について」

小林俊介「難波田龍起・松本竣介・靉光の油彩技法について」(『美術史』145号、1998年10月)。 はじめに 1 難波田・竣介・靉光の油彩技法―油彩の透明性を生かした重層的技法― 2 ルオーの影響―古典的重層技法の応用者として― 3 技法の背景―「生」の表出・…

論文マラソン153 脇田裕正「第4章 文壇の批評家としての春山行夫―ジェイムズ・ジョイスと「「意識の流れ」と小説の構成」」

脇田裕正「第4章 文壇の批評家としての春山行夫―ジェイムズ・ジョイスと「「意識の流れ」と小説の構成」(『降り坂を登る―春山行夫の軌跡 1928-35』松籟社、2023年)。 はじめに 1 「ポエジイ」の喪失 2 「文学の偽浪漫主義的傾向について」―文学の自然主義…

論文マラソン152 脇田裕正「第3章 「全部が一度に僕達の世界に流れこんできた」―文芸批評家としての春山行夫」

脇田裕正「第3章 「全部が一度に僕達の世界に流れこんできた」―文芸批評家としての春山行夫」(『降り坂を登る―春山行夫の軌跡 1928-35』松籟社、2023年)。 1 小説の勃興―『詩と詩論』の終刊と『文学』創刊 2 批評家の条件と二つの『詩の研究』 3 「造語…

論文マラソン151 脇田裕正「第2章 ユージン・ジョラスーV・F・カルヴァートンー春山行夫―モダニズム文学とプロレタリア文学の間で」

脇田裕正「第2章 ユージン・ジョラスーV・F・カルヴァートンー春山行夫―モダニズム文学とプロレタリア文学の間で」(『降り坂を登る―春山行夫の軌跡 1928-35』松籟社、2023年)。 はじめに 1 『詩と詩論』の中の『トランジション』―反ジョラス的モダニズムと…

論文マラソン150 ジョン・ソルト「第8章 表意文字の突然変異体」

ジョン・ソルト「第8章 表意文字の突然変異体」訳:ヤリタミサコ、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇北園は前衛詩というジャンルにおいて、西洋で最も知られている日本人であり、多くの詩を「輸出」し、…

論文マラソン149 脇田裕正「第1章 モダニズムの詩人の肖像―春山行夫の「ポエジイ」と言語の実験」

脇田裕正「第1章 モダニズムの詩人の肖像―春山行夫の「ポエジイ」と言語の実験」(『降り坂を登る―春山行夫の軌跡 1928-35』松籟社、2023年)。 はじめに 1 「ポエジイ」とは何であるか―主観と客観の間で 2 新しい詩人像と「ポエジイ」―革新としての詩論 3…

論文マラソン148 ジョン・ソルト「第7章 意味のタペストリーを裁断する」

ジョン・ソルト「第7章 意味のタペストリーを裁断する」訳:高田宣子、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇戦後の北園が再び「前衛詩」へと戻り、代表的な詩集『黒い火』をとりあげ詳細に分析する。その分…

論文マラソン147 ジョン・ソルト「第6章 ファシズムの流砂」

ジョン・ソルト「第6章 ファシズムの流砂」訳:ヤリタミサコ、鷲尾郁、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇この章では北園克衛の戦時中の活動を時系列に追ってゆく。この時期の詩作について、これまでほと…

論文マラソン146 金子隆一「新興写真研究会についての試論」

金子隆一「新興写真研究会についての詩論」(『東京都写真美術館紀要』3、2002年)。 1. はじめに 2. 新興写真研究会の結成 3. 新興写真研究会の主張 4. もうひとつの新興写真研究会 5. 新興写真研究会の終焉 〇木村専一(1891-1938)を主幹として結成さ…

論文マラソン145 ジョン・ソルト「第5章 キット・カット(Kit Kat)とエズ・ポ(Ez Po」

ジョン・ソルト「第5章 キット・カット(Kit Kat)とエズ・ポ(Ez Po」訳:田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇アメリカの詩人、エズラ・パウンドと北園克衛は国を隔てていたが詩誌の交換などによる交流をして…

論文マラソン144 ジョン・ソルト「第4章 千の顔」

ジョン・ソルト「第4章 千の顔」訳:田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇1920年代後半から30年代初め、日本は不況に陥り、またプロレタリア文学が人気を集めていた。しかし北園は自分の詩を社会的、政治的…

論文マラソン143 ジョン・ソルト「第3章 文学上のシュルレアリスム」

ジョン・ソルト「第3章 文学上のシュルレアリスム」訳:小川正浩、ヤリタミサコ、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇1927年北園は詩誌の編集を依頼され「薔薇・魔術・学説」を発行。上田敏雄・保兄弟らも…

論文マラソン142 ジョン・ソルト「第2章 ダダイズムとゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」

ジョン・ソルト「第2章 ダダイズムとゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」訳:小川正浩、ヤリタミサコ、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇1923年関東大震災がおき、一時克衛は奈良に避難。24年に再び…

論文マラソン141 ジョン・ソルト「第1章 朝熊から東京へ」

ジョン・ソルト「第1章 朝熊から東京へ」訳:小川正浩、ヤリタミサコ、田口哲也(『北園克衛の詩と詩学 意味のタペストリーを裁断する』思潮社、2010年)。 〇第1章は北園の生まれ育った三重県朝熊の生活から始まる。本名は橋本健吉(1902~1978)。兄・橋本平…

論文マラソン140 桑原規子「戦後日本版画の世界進出―占領期から東京国際版画ビエンナーレ創設まで―」

桑原規子「戦後日本版画の世界進出―占領期から東京国際版画ビエンナーレ創設まで―」(『聖徳大学言語文化研究所論叢』16号、2008年)。 はじめに 1. 占領期の欧米人コレクターと創作版画 2. 創作版画の海外進出―国際展への参加 3. 「現代日本美術の国際選…

論文マラソン139 和田七洋「1960年代初頭における横尾忠則ポスター作品の変化に関する研究」

和田七洋「1960年代初頭における横尾忠則ポスター作品の変化に関する研究」(『鹿児島大学教育学部研究紀要』68号、2016年度)。 1. はじめに 2. 日本デザインセンターと市松模様 3. 京都労音ポスター『東京コラリアーズクール・プティ』分析 4. 市松模様…

論文マラソン138 山下寿水「サルバドール・ダリ《ヴィーナスの夢》における、塗り隠された縄跳びについての発見とその試論」

山下寿水「サルバドール・ダリ《ヴィーナスの夢》における、塗り隠された縄跳びについての発見とその試論」(『広島県立美術館研究紀要』第16号、2013年3月)。 0 要旨 1 はじめに 2 インスタレーションとしての《ヴィーナスの夢》 3 消えた縄跳びの記憶 …

論文マラソン137 加治屋健司「誤作動する武器―クレメント・グリーンバーグ、文化冷戦、グローバリゼーションー」

加治屋健司「誤作動する武器―クレメント・グリーンバーグ、文化冷戦、グローバリゼーションー」(『アメリカ研究』37号、2003年)。 はじめに 1 グリーンバーグと修正主義 2 修正主義に対する近年の見直し 3 アメリカ国外におけるグリーンバーグの受容 (…

論文マラソン136 関直子「マティスと1950年代前半の日本」

関直子「マティスと1950年代前半の日本」(『東京都現代美術館紀要』8号、2002年度)。 序 1 映画「マチス訪問」の上映 2 新作展としての1951年のマティスの個展 (1)開催の経緯 (2)展示構成 (3)礼拝堂 (4)油絵 3 福島繁太郎の「マティス以後…

論文マラソン135 関直子「マティスと1940年代の日本」

関直子「マティスと1940年代の日本」(『東京都現代美術館紀要』7号、2001年度)。 序 1. 1940年代の美術雑誌における、素描家としてのマティス 2. 1940年代のマティスの普及 (1)武者小路実篤の役割 (2)文学雑誌メディアー『別冊文芸春秋』の場合 (…

論文マラソン134 門田園子「海を渡った彫刻家具―横浜を中心に」

門田園子「海を渡った彫刻家具―横浜を中心に」(『家具道具室内史』9号、2017年6月)。 はじめに 1. 彫刻家具の製作と家具の種類・意匠パターン 2. 彫刻家具製作の担い手 3. 海を渡った彫刻家具 むすびに 〇江戸時代に成熟した大名や富裕町人によるパトロ…

論文マラソン133 池上裕子「巴里のアメリカ人 イリアナ・ソナベンド画廊の市場戦略」

池上裕子「巴里のアメリカ人 イリアナ・ソナベンド画廊の市場戦略」(『西洋美術研究』14号、2008年9月)。 序 1 戦後フランスにおけるアメリカ美術の紹介 2 アンフォルメルと抽象表現主義 3 ヌーヴォー・レアリスムとネオダダ、ポップ 4 イリアナ・ソナ…

論文マラソン132 伊村靖子「東野芳明の「反芸術」概念の展開」

伊村靖子「東野芳明の「反芸術」概念の展開」(『京都市立芸術大学美術学部研究紀要』56号、2012年)。 はじめに 「反芸術」の定義をめぐる経緯 シンポジウム「『反芸術』、是か非か」(1964年1月30日) 東野芳明によるパフォーマンスの意義 宮川淳との論争(…

論文マラソン131 大谷省吾「シュルレアリスムの影響を受けた日本の画家たちにおける、性と死の表象について―瑛九、矢崎博信、浜田浜雄を例に」

大谷省吾「シュルレアリスムの影響を受けた日本の画家たちにおける、性と死の表象について―瑛九、矢崎博信、浜田浜雄を例に」(『藝叢』22号、2005年)。 はじめに 第1章 変容する眼/瑛九 第2章 幻視される死/矢崎博信 第3章 二人の自分/浜田浜雄 おわりに…

論文マラソン130 久米淳之「ダリの映像表現をめぐって―イメージの連鎖とショック・モンタージュ」

久米淳之「ダリの映像表現をめぐって―イメージの連鎖とショック・モンタージュ」(『生誕100年記念 ダリ展―創造する多面体』図録、中日新聞社、2007年)。 シュルレアリストと映画 映画とダリ ダリの絵画と映像、そのイメージの連鎖 連鎖するショック・モンタ…