a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン152 脇田裕正「第3章 「全部が一度に僕達の世界に流れこんできた」―文芸批評家としての春山行夫」

脇田裕正「第3章 「全部が一度に僕達の世界に流れこんできた」―文芸批評家としての春山行夫」(『降り坂を登る―春山行夫の軌跡 1928-35』松籟社、2023年)。

 

1 小説の勃興―『詩と詩論』の終刊と『文学』創刊

2 批評家の条件と二つの『詩の研究』

3 「造語」と「新語法」―岩野泡鳴のモダニズム

4 春山行夫の世界文学―文学を思考する

 

〇『詩と詩論』の終刊後、春山は『新潮』『三田文学』などのメジャーな雑誌に以前より穏健な批評を載せるようになり、徐々に批評家として名を上げていく。かつての激烈なものいいは鳴りを潜めたが、それでも小林秀雄萩原朔太郎といった文壇における主流派に対する攻撃をやめたわけではない。

〇また詩よりも欧米のモダニズム小説により強く惹かれるようになり、『ジョイス中心の文学運動』を刊行。また間違いなく当時の日本において、モダニズム文学を広く知っていた人物であろう。