a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン158 ルッケル瀬本阿矢「第1章 男性原理としてのシュルレアリスム」

ルッケル瀬本阿矢「第1章 男性原理としてのシュルレアリスム」(『シュルレアリスムの受容と変容』文理閣、2021年)。

 

1 「シュルレアリスト」とはだれか

2 男性シュルレアリストの描く女性の理想像

3 アナイス・ニンに見るシュルレアリスムの受容ーイメージの転化ー

 

〇フランス発祥のシュルレアリストたちの多くは男性であり、彼らにとって女性は重要なモチーフであり存在であった。

〇主要な考え方として「ファム・アンファン」もしくは「ファム・ファタル」という存在がいる。すなわち子供のような純真さをもちつつ、男性を破滅に陥れるような存在である。こうした女性像をモチーフとした作品はいくつもある。

〇男性の作家にとって、不特定の女性にそのイメージをもたせるか、特定の女性のみがそのイメージをもつかという違いはある。たとえばマン・レイは、何人かの女性たちと同棲あるいは結婚をしたが、そうした女性たちがしばしば作品に現れる。反対にダリにとって、妻であるガラが絶対的な存在であり、精神的にもダリを支配した。

〇当時の女性作家たちは、自らは「シュルレアリストではない」と述べる場合が多かった。それは、男性たちが考える女性像あるいはシュルレアリスムを作品化しているわけではないからである。