a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン159 ルッケル瀬本阿矢「第2章 ヨーロッパ的原理としてのシュルレアリスムー日本における受容と変容」

ルッケル瀬本阿矢「第2章 ヨーロッパ的原理としてのシュルレアリスムー日本における受容と変容」(『シュルレアリスムの受容と変容』文理閣、2021年)。

 

1 日本のシュルレアリスムへの関心の高まり

2 イメージと言葉の剥離―瀧口修造と日本のシュルレアリスム

3 瀧口修造サルヴァドール・ダリとの関わり

4「真珠論」をめぐって

5 『異説・近代藝術論』とLes Cocus du vieil art moderne

6 ナルシスの変貌について―変貌・死・復活―

 

美術評論家瀧口修造は日本のシュルレアリスム受容に多大な影響を与えている。翻訳を行った彼は、当時あまり文筆家としての功績を評価されていなかったダリの著作を数多く訳して出版している。

〇日本の画家はダリに影響を受けた人は多く、瀧口の翻訳を通じてその著作にも親しんでいる。

〇しかし、その翻訳を詳細に見ていくと、ダリの言葉を直訳しているわけではなく、瀧口の解釈が含まれているものも多い。それは瀧口は詩人であり、自らが芸術家であるために、詩的な翻訳をしたり、独自の考えが盛り込まれているためである。いわば瀧口の解釈自体が、日本のシュルレアリスム受容に影響を与えている側面がある。