2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
中原佑介「現代美術としての彫刻」(『季刊現代彫刻』1973年12月)。 ◯現代の絵画、彫刻はこれまで二次的と考えられていた要素ー物質感や「つくる」「描く」という行為の拡大、クローズアップをしてきた。 ◯この現象は絵画や彫刻の解体、あるいは絵画を絵画と…
柳沢弥生「三岸好太郎の道化と裸婦像にみるルオーの影響」(『ジョルジュ・ルオーと三岸好太郎』図録、北海道立三岸好太郎美術館、2007年)。 1 道化シリーズーモチーフの源泉ー 2 作風の変化とルオーの影響 3 裸婦像への取り組み 4 ルオーに寄せる関心とさ…
大島徹也「1980年代の日本の抽象絵画」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。 1980年代の日本の抽象絵画について考察する。アメリカにおいては、同時期ニューペインティングと呼ばれるジュリアン・シュナーベルをはじめとした傾向が席巻し、抽象絵画…
中原佑介「コンクール作品と現代彫刻」(『第一回現代国際彫刻展』1969年)。 箱根彫刻の森美術館の開館記念展のカタログに寄稿されたテキスト。1960年代後半の野外彫刻を含めた現代彫刻の考察。 自立した、量塊としての彫刻と台座はかつて切り離せないものだ…
河田明久「戦時期美術作品の複数制作について」(『近代画説』15号、2006年)。 作者不詳の《学徒出陣》 競作と合作 再制作について 「異人同図」の可能性 東京国立近代美術館にある戦争記録画《学徒出陣》の作者をめぐり、この時期の戦争記録画の複数制作につ…
谷新「榎倉康二の「初期作品」、「壁」、「写真」について」(『所沢ビエンナーレ美術展2011』図録、所沢ビエンナーレ実行委員会、2011年)。 はじめに 1 1960年代と榎倉康二 初期作品と他者性/「言語ゲーム」の外へ/人格的対称性を超えるフィールド 2 …
正路佐知子「田部光子の美術と思考を追走する」(『田部光子展「希望を捨てるわけにはいかない」』図録、福岡市美術館、2022年)。 1 はじめに 2 1950年代から1960年代 九州派のなかで/「魚族」と「繁殖」/《プラカード》/《人工胎盤》/実験的試みと問題…
田中修二「彫刻史に仲間外れにされた人形・置物」(『芸術新潮』第45巻第3号、1994年3月)。 日本の近代彫刻はロダンの影響を受けた荻原守衛に始まる、とされるのが定説であった。しかし、江戸時代の建築装飾や人形、置物、根付などの立体造形から続く「も…
江川佳秀「ピカソと日本の近代美術 大正から終戦まで」(『ピカソと日本』図録、徳島県立近代美術館、1990年)。 1 はじめに 2 大正の前衛美術 3 パリの留学生たち 4 国内での多様な広がり 5 戦争・終戦 6 最後に ◯大正のピカソ受容はキュビスムと共に考える必…
中原佑介「ピカソと土の変貌」(『ピカソ陶芸展』図録、ピカソ陶芸展実行委員会、1981年)。 ◯ピカソの陶芸は1947年から行われ、生涯で約3,300点を残し、生前ははぼ未公開だった。 ◯あるものがあるものに変貌する(土を焼くことによって陶器になるように)こと…
沢山遼「テクスト論的転回――「平面/立体」という呼称」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。 〇従来の「絵画/彫刻」から「平面/立体」という呼び方に変わったのは日本独自の傾向である。 〇最初期の使用例は針生一郎と三木多聞をコミッショナーと…
林卓行「局所化されたミニマル・アート――批評的読解の試み」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。 1 <グローバリゼーション>下の<歴史>化 2 「ミニマル・アート」とその再評価 3 ミニマル・アートを受容する 4 ミニアル・アートと藤枝晃雄の…
鈴木勝雄「日本における「コンセプチュアル・アート」元年ー1969年の言説空間から」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。 はじめに 1 「つくる」から「見る」への転換――テクノロジー・デュシャン・芸術の観念化 2 第9回現代日本美術展と「コンセプ…
中原佑介「鉄彫刻の意味」(『国際鉄彫刻シンポジウム 1969~70』1969年)。 鉄彫刻は20世紀初めに生まれたが、それまでの彫刻と異なる点として1技法(彫る、削ることはできない。切断、溶接)、2テーマの変化(写実は不可)、3加工された文明による素材、…
金澤清恵「日本におけるジョルジュ・ルオーの紹介、あるいはその受容について」(『成城美学美術史』第17号、2012年3月)。 はじめに 1 ルオーの日本への紹介の端緒―1920年代後半 2 ルオーの日本への紹介の変容―1930年代から現代へ 3 福島繁太郎とルオー 4…
後藤新治「近代日本美術史のルオー受容-1908年から1958年まで-(1)」(『西南学院大学国際文化論集』第21巻第1号、2006年5月)。 はじめに 1 受容のクロノロジー 1-1第1期 邂逅:誘因と反発(1908・明治41年-1928・昭和3年) 1-2第2期 評価:認知と屈折(…
峯村敏明「もの派はどこまで越えられたか」(『もの派とポストもの派の展開』図録、多摩美術大学ほか、1987年)。 1 歴史の教訓 2 もの派の問題点 3 システムと実践ーポストもの派の足がかり 4 絵画へー平面ではなく 5 彫刻へーインスタレーションではなく 6 s…
江口ゆか「関西の80年代-「アート・ナウ」に見る一断面」(『関西の80年代』図録、兵庫県立美術館、2022年)。 1 はじめに 2 「アート・ナウ」と関西ニューウェーブ 3 出品作から ①さまざまなフレーム外し ②インスタレーション ③「私」のリアリティ ④「私…
野中明「青木野枝 ふりそそぐものたち」(『青木野枝 ふりそそぐものたち』図録、長崎県美術館、2019年)。 鉄を溶接して制作する彫刻家の先駆者として、バルセロナ出身のジュリ・ゴンサレス(1876-1942)を挙げ、青木と比較しつつ差異を述べている。 ゴンサレス…
角田美奈子「ふりそそぐものたち-青木野枝の造形」(『青木野枝 ふりそそぐものたち』図録、豊田市美術館・名古屋市美術館、2012年)。 彫刻家・青木野枝(1958-)の個展にあわせて発行された図録の論考。 青木は主に鉄板を溶断、溶接して制作するが、青木より…
本日は豊見山愛「主体と客体の間で-沖縄女性美術研究(1)-」(『美術館研究紀要』第2号、沖縄県立博物館・美術館、2012年)。 序章-葛藤を繰り返した「沖縄」を描く 同化政策と植民地主義 二重のマイノリティー 戦後復興の導として 一章-沖縄女性美術の萌…
本日は、たにあらた「1970年代と<その後>‥‥‥ふつうにしてラディカル 地に足をつけた作家たちの「本質」への下降」(『ミニマル|ポストミニマル 1970年代以降の絵画と彫刻』図録、宇都宮美術館、2013年)。 はじめに 1 物象性と仮象性/李禹煥、関根伸夫の…
本日の論文は、中井康之「もの派-再考」(『もの派-再考』図録、国立国際美術館、2005年)。 はじめに 1 高松次郎とトリックス・アンド・ヴィジョン 2 《位相-大地》と東京ビエンナーレ 「もの派」の形成 3 「もの派」と同時代の動き おわりに 日本の戦…
本日の論文は大谷省吾「裏面から見た戦争記録画」(『戦争と美術 1937-1945』国書刊行会、2007年)。 1 出来事の日付と制作の日付 2 タイトルの変更 3 《学徒出陣》の謎 おわりに 東京国立近代美術館に保管される153点の戦争記録画。これらの基本情報は既…
本日の論文は田中修二「戦争と日本の彫刻 1937~1945」(『戦争と美術 1937-1945』国書刊行会、2007年)。 1 世代 2 ロダンと古典 3 彫刻家の期待 4 必要な彫刻と必要のない彫刻 1937~1945年の時期には1880年代生まれの彫刻家が活躍しており、彼らはロダ…
関直子「桂ゆき-ある寓話-」(『生誕百年 桂ゆき-ある寓話-』図録、東京都現代美術館ほか、2013年)。 はじめに 1 細密描写、コラージュ、戯画的表現 2 油彩画の展開-1940年代後半から50年代 (1)児童書と寓話 (2)表現方法の並存と対比 (3)画面…
本日の論文は鏑木あづさ「関根伸夫資料について 」「「世界が裏返った場所、」から見渡す世界で」(『DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術』図録、埼玉県立近代美術館、2019年)。 埼玉県立近代美術館に作家の関根伸夫氏から寄贈された資料群について…
沼田英子「芝山細工についての基礎研究-横浜との関係を中心に-」(『横浜美術館・横浜市民ギャラリー研究紀要』第7号、2005年)。 はじめに 芝山細工とは何か 芝山細工の起源と明治期の展開 芝山細工はなぜ海外で人気があったのか 芝山細工の様式と技法 芝山…
本日は平瀬礼太「明治前期:名古屋、愛知の造形について」(『近代日本の視覚開化 明治 呼応し合う西洋と日本のイメージ』愛知県美術館・神奈川県立歴史博物館編、風媒社、2023年)です。 幕末から明治へ 愛知の陶磁器、七宝 各派の日本絵画-江戸からの連続 …
本日の論文は蔵屋美香「戦時下のヨーロッパ美術研究」(『戦争と美術 1937-1945』国書刊行会、2007年)。 1 物語る絵画 2 ヨーロッパ美術の研究 3 再び《神兵パレンバンに降下す》を観る 4 おわりに 鶴田吾郎《神兵パレンバンに降下す》(1942年)を例にとって…