論文マラソン17 たにあらた「1970年代と<その後>‥‥‥ふつうにしてラディカル 地に足をつけた作家たちの「本質」への下降」
本日は、たにあらた「1970年代と<その後>‥‥‥ふつうにしてラディカル 地に足をつけた作家たちの「本質」への下降」(『ミニマル|ポストミニマル 1970年代以降の絵画と彫刻』図録、宇都宮美術館、2013年)。
はじめに
2 ”状態”という言葉の台頭と美術認識の変革
3 1970年代前夜を特徴づける動向
4 1970年代前期/”日常”を拠点にしたラディカリズム
Ⅳ-1 共同主観性と集団による美術
Ⅳ-2 ありふれたモチーフの繰り返しによる特異な表現
Ⅳ-3 外部に委ねられた決定要因と最低限の表現行為
Ⅳ-4 パラダイム変換をうながす日常性とその位相
Ⅳ-5 規制された実践を超える抑制された表現の芽生え
5 1970年代中後期から80年代/ポストミニマルの表現の兆しと展開
6 1990年前後から今日へ/70年代再考をうながすポストミニマルの動向
おわりに
しばしば論じられる「もの派」だけではなく、1970年代の美術動向を再検証し、この時代以降の表現の変遷を「絵画」「彫刻」の形式を中心に考察する。
70年代の動向をとりあげるに際し、具体的な作家、展覧会の事例を豊富に挙げて、キーワードとして「物象性」「仮象性」「状態」「労働」「日常性」「言語的表象」「集団による美術」「パフォーマンス」「ステイニング」などを含めて丁寧に論じる。
そして70年代中後期から80年代の代表として出品作家である遠藤利克、戸谷成雄、辰野登恵子、中村一美、川島清を、そして90年前後から今日にかけての出品作家として袴田京太朗、石川順惠、薄久保香、荒井経をとりあげる。
70年代に試みられた様々なキーワードをどのように展開させたか、あるいはその差異について作家に即して論じている。