論文マラソン29 中原佑介「ピカソと土の変貌」
中原佑介「ピカソと土の変貌」(『ピカソ陶芸展』図録、ピカソ陶芸展実行委員会、1981年)。
◯ピカソの陶芸は1947年から行われ、生涯で約3,300点を残し、生前ははぼ未公開だった。
◯あるものがあるものに変貌する(土を焼くことによって陶器になるように)ことにピカソが興味を持ったのは1934年の廃材を使った彫刻作品。
◯50年代後半から最晩年の彫刻は、平面的構成という特質が著しい。
◯ピカソの陶芸を大別すると1絵付けをした皿、2花瓶、あるいはその変形、3陶彫。
◯ピカソの絵画と彫刻が観念的、技法的に交錯したのはキュビスム期、もう一つが陶芸に始まり金属の切り抜き作品を含む晩年。
◯粘土板に型押しし、独自のテクスチャーをつける手法はピカソのブロンズ彫刻とも共通点があり、また版画の観念ともいえる。