a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン25 中原佑介「鉄彫刻の意味」

中原佑介「鉄彫刻の意味」(『国際鉄彫刻シンポジウム 1969~70』1969年)。

 

鉄彫刻は20世紀初めに生まれたが、それまでの彫刻と異なる点として1技法(彫る、削ることはできない。切断、溶接)、2テーマの変化(写実は不可)、3加工された文明による素材、が挙げられる。

大自然から加工されて取り出されることから、鉄には「自然の力の象徴」(例:ウラジミール・タトリン)「自然の非情な力の象徴」(例:ジュリ・ゴンサレス)の二つの面があると中原は述べる。たとえばゴンサレスは故意に錆びさせて荒々しい材質感を表現した。

単なる素材の問題ではなく、これまでのギリシャ時代からの歴史とは断絶するかたちで鉄彫刻(鉄構成)をとらえている。