a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン14 田中修二「戦争と日本の彫刻 1937~1945」

本日の論文は田中修二「戦争と日本の彫刻 1937~1945」(『戦争と美術 1937-1945』国書刊行会、2007年)。

 

1 世代

2 ロダンと古典

3 彫刻家の期待

4 必要な彫刻と必要のない彫刻

 

 1937~1945年の時期には1880年代生まれの彫刻家が活躍しており、彼らはロダニズムの影響を強く受けている。第一次世界大戦中に没したロダンは、美術における「古典」をまもる「愛国者」としてとらえられており、そのスタンスが80年世代の彫刻家によって受け継がれ、第二次世界大戦時における日本の彫刻界の基本方針だと田中は述べる。

 もう一つ日本人にとっては身近な「古典」がある。それは飛鳥時代から続く仏像彫刻であり、昭和戦前・戦中期は日本人が自らの古典古代を再発見し、広めていった時代でもある。

 彫刻家たちにとっての「古典」と「愛国」が結びつき、さらには一般的にも馴染みのある仏像を通じた「古典」の再発見が強固に支え合った時代であったといえる。