a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン11 沼田英子「芝山細工についての基礎研究-横浜との関係を中心に-」

沼田英子「芝山細工についての基礎研究-横浜との関係を中心に-」(『横浜美術館横浜市民ギャラリー研究紀要』第7号、2005年)。

 

はじめに

芝山細工とは何か

芝山細工の起源と明治期の展開

芝山細工はなぜ海外で人気があったのか 

芝山細工の様式と技法

芝山細工の制作工程

横浜における芝山細工 芝山細工の嘱品家 

横浜家具と芝山漆器

横浜写真と芝山漆器

横浜における芝山漆器の展開と現状 

むすび

 

芝山細工とは漆、象牙、木など多様な素地に象牙、蝶貝、鮑などの貝殻、牛馬の骨、珊瑚、鼈甲、瑪瑙、玉などを象嵌する装飾様式。輸出工芸品と知られるが近年まで研究されることの少なく、この論文では芝山細工の歴史、制作過程、技法など基礎情報を整理している。

芝山細工は先に挙げたような多様な素材を組み合わせて装飾するため、分業制でそれぞれ職人が制作し、その商品の方向性をまとめるプロデューサーとして嘱品家がいたこと、また会津や静岡などから職人たちが横浜に集まってきたことなども特徴だといえるだろう。

また現役の芝山細工職人からの聞き取り調査を行い、具体的な制作過程や代表的な技法を示している。