a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン28 沢山遼「テクスト論的転回――「平面/立体」という呼称」

沢山遼「テクスト論的転回――「平面/立体」という呼称」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。

 

〇従来の「絵画/彫刻」から「平面/立体」という呼び方に変わったのは日本独自の傾向である。

〇最初期の使用例は針生一郎三木多聞コミッショナーとした1971年の「第10回現代日本美術展」。

アメリカ型のミニマリズムと、日本の「もの派」を中心としたミニマリズムが台頭して現れた言葉。

〇60年代以降、絵画と彫刻両方を手掛ける作家が数多く現れ、両者を横断的に展開した。例えば斎藤義重李禹煥高松次郎、榎倉康二など。

〇絵画的イメージと彫刻的事物性を互いに干渉しあう「関係」がこの時代に広く共有されたキーワード。

〇事物が事物として(高山登の枕木を例に出して)「作品」化するのは「制度」であり、即物的なニュアンスのある「平面/立体」という用語は、制度論的に作品概念が変質していることの表明である。