a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン12 鏑木あづさ「関根伸夫資料について 」「「世界が裏返った場所、」から見渡す世界で」

本日の論文は鏑木あづさ「関根伸夫資料について 」「「世界が裏返った場所、」から見渡す世界で」(『DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術』図録、埼玉県立近代美術館、2019年)。

 

埼玉県立近代美術館に作家の関根伸夫氏から寄贈された資料群について、アーキビストの鏑木氏による整理、分類に基づいた概要とその解題、そして考察である。

資料を「手稿類」「作家活動に関する資料」「環境美術研究所に関する資料」「刊行物」「個人的な資料」に分類している。通覧すると「環境美術研究所に関する資料」が多いそうだが、これまで関根伸夫というと「もの派」との関わりを問うことが多く、環境美術研究所については焦点を当てたことの少ない点を指摘している。

またテキストよりも写真類の圧倒的な多さも特徴的で、これは作家自身が作品と写真を不可分と考えていたからではないかと述べている。