a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン38 中原佑介「現代美術としての彫刻」

中原佑介「現代美術としての彫刻」(『季刊現代彫刻』1973年12月)。

 

◯現代の絵画、彫刻はこれまで二次的と考えられていた要素ー物質感や「つくる」「描く」という行為の拡大、クローズアップをしてきた。

◯この現象は絵画や彫刻の解体、あるいは絵画を絵画として、彫刻を彫刻として成立させようとする切迫した行為とする二つの側面がある。

◯古典的な意味での絵画、彫刻からの逸脱を意図するが、よるべき文脈は世界共通の無国籍文化である「美術館」だけになってしまった。

◯彫刻を野外に設置することは、この美術館という枠組みから飛び出す目論見もあったはずだが、野外展としてしまうと状況がかわらず、彫刻の社会的存在理由を問う必要性が提起される。