論文マラソン111 廣田生馬「藤島武二と新制作初期会員たち」
廣田生馬「藤島武二と新制作初期会員たち」(『昭和モダン 藤島武二と新制作初期会員たち』図録、神戸市立小磯記念美術館ほか、2011年)。
〇1936年の帝展改組をきっかけに、美術界統制に抗する画家である猪熊弦一郎、内田巌、佐藤敬、小磯良平、三田康、中西利雄。加えて伊勢正義、鈴木誠、脇田和らが参加して新制作協会が創立された。
◯彼らの大半がフランス留学を経験し、帝展での入選、特選歴のある東京美術学校出身の精鋭たちであり、彼らの行動は注目を集めた。
◯新制作の作家たちの作品は「モダニスム」、「新感覚派」、「新生活派」などと評され大きな注目を浴びていく。
◯また、官展の重鎮であったにも関わらず、藤島武二の賛助出品、支援もあった。
〇青年作家たちと重鎮・藤島武二の支援によって旗を揚げた新制作協会は戦前、戦中、戦後と激動期を乗り越え今日にいたっている。
◯彼らは官展エリートの座を自ら放棄し、美術界や画壇での権力を獲得する野心はなかった。自らの信念に基づき気骨を示したといえよう。