論文マラソン165 池上裕子「ロバート・ラウシェンバーグの《ゴールド・スタンダード》―現代美術のグローバル化に関する一試論」
池上裕子「ロバート・ラウシェンバーグの《ゴールド・スタンダード》―現代美術のグローバル化に関する一試論」(『美術史』158号、2005年3月)。
序
1 日本におけるラウシェンバーグ受容
2 《ジョン・ケージに捧げる》と《トーキョー》
3 篠原有司男のイミテーション・アート
4 「ボブ・ラウシェンバーグへの20の質問」
5 《イミテーション・ボックス》
結びに代えて
〇1964年にラウシェンバーグは、マース・カニングハム舞踏団の世界公演に美術監督として参加し、公演中、ヨーロッパ全土とインド、タイ、日本の12か国にわたって作品制作、現地でパフォーマンスを行い、現地のアーティストと共同制作を行った。
〇マース・カニングハム舞踏団日本公演のスポンサーであった勅使川原蒼風が、ラウシェンバーグに金屏風を提供し、それが公開質問会での公開制作の題材につながった。
〇また公開制作では、ラウシェンバーグ、ひいてはアメリカ美術に対する疑問を提示するような篠原や小島信明の作品もおかれた。ラウシェンバーグの公開制作や、それに伴うイベントは美術の国際化を促進するとともに、様々な問題を浮き彫りにしたといえる。