a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン121 エリオット・H・キング「ダリとハルスマン」

エリオット・H・キング「ダリとハルスマン」(『ダリとハルスマン』図録、諸橋近代美術館、2020年)。

 

〇ダリの最も有名なポートレートを撮影しているのはフィリップ・ハルスマン(1906-1979)である。37年にわたる交流で、有名な《ダリ・アトミクス》や、ダリの大きな目や口ひげを強調した写真を残した。

◯ハルスマンはラトビア出身。15歳から独学で写真を学び1931年にパリへ移住し、商業写真家として活動。芸術写真も撮り続け、ミラーリング、クローズアップ、二重の焼き付けも行った。マン・レイシュルレアリストの仕事を知っていただろう。

◯1940年、パリ陥落が近づくとダリ夫妻はアメリカに亡命、ハルスマン一家も試みるが、ハルスマンのみラトビア国籍だったため半年遅れでアメリカに到着する。

◯1941年春、通信社のカメラマンをしていたハルスマンはニューヨークのジュリアン・レヴィ画廊でダリ展の取材へ。2人が出会う前からダリの奇抜な振る舞いは有名だったが馬があったのか、以降しばしばコラボレーションすることになる。

◯今日のコンピューターによる手軽な画像処理と違い、様々な工夫を凝らし撮影に時間もかかったが数多くの写真や映像で2人は刺激しあい、制作を行った。