論文マラソン102 栗田秀法「戦後の国際版画黎明期の二つの版画展と日本の版画家たち」
栗田秀法「戦後の国際版画黎明期の二つの版画展と日本の版画家たち」(『名古屋芸術大学研究紀要第37巻』2016年)。
はじめに
2 ルガーノ白と黒国際展
(1)第1回展
(2)第2回展以降
おわりに
〇日本の版画家たちが1950年代初頭から様々な国際展で受賞を重ねてきたことはよく知られている。しかし、彼らが活躍した国際版画展自体については必ずしも客観的な記述・紹介も十分にされてこなかった。ここでは戦後の国際版画展の嚆矢をなす二つの展覧会、シンシナティ現代色彩版画国際ビエンナーレとルガーノ白と黒国際展を当時の資料に即してその概要を紹介している。
〇 第1回シンシナティ現代色彩石版画国際ビエンナーレ(International Biennial of Contemporary Color Lithography)は、1950年3月2日から4月23日までシンシナティ美術館において開催された。図録によれば多色刷石版画の初めての国際展であり、過去10年間に制作されたオリジナルの色彩石版画を対象としている。
〇シンシナティの国際版画展は、授賞制度がなかったこともあり言及されることも少なかった。
〇ルガーノについては規約も残っており、日本人も何度か受賞をしている。
〇これまで日本人の受賞という点で注目されてきたが、この2つの展覧会にまつわる海外での日本人版画家の批評、展示作品、買上げ作品、売却作品のその後についてもほとんど調査がなされていない。