論文マラソン79 大浦周「絶頂の予感―辰野登恵子の初期版画・ドローイング」
大浦周「絶頂の予感―辰野登恵子の初期版画・ドローイング」。
1 ドット(点)
2 グリッド(格子)
3 グリッド(2)
4 罫紙
5 ストライプ
〇辰野登恵子が本格的に絵画制作を始める前の70年代に、シルクスクリーンによる版画を手掛けていた。ミニマル・アートの隆盛を背景にした版画、ドローイングをとらえなおし、絵画との連関を見出していく。
〇ドット、グリッドなどをモチーフとするが、製図用の透明な方眼紙を拡大して写真製版し、シルクスクリーンで刷る。その上から透明のフィルムに手書きの線をひき、それを再び写真製版し、グリッドに刷り重ねる。禁欲的なパターンに手描きの線が介入するという明確な目的があった。全体が平均、均質化する構造に依拠しながら、手描きの有機的、身体的な線によってミニマル・アートとの差別化に成功している。
◯辰野の版画制作は版をつぶしてしまうためエディションがないケースも多い。