論文マラソン58 中原佑介「「木との対話」について相手のない対話」
中原佑介「「木との対話」について相手のない対話」(『art today '79 木との対話』1979年)。
〇「art today '79」の出品作家、最上壽之、小清水漸、彦坂尚嘉を挙げ、素材である「木」についてまず考察する。今世紀の美術の素材として「木」は少数派であり古いといえる。現代は工業生産材を使用する場合が多い。
〇こうした時代に木を材料とすると、木の特質に着目せざるをえない。木に結び付けて発想されたことが、その木によって作品化されると言い換えられる。
〇最上の作品は「配列と組み合わせ」の操作であり、木によって形のきめられた構成である。小清水の作品は表面に人為的な形状を与えて作品化している。彦坂は唯一塗料を用い、彩色された木の面が絵画空間となるように作られている。