a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン180 金英那「論争のモダニティ 「新しい女性」と「モダン・ガール」の表象」

金英那「論争のモダニティ 「新しい女性」と「モダン・ガール」の表象」『韓国近代美術の百年』(神林恒道監訳、三元社、2011年)

 

「新しい女性」とはだれのことなのか?

ハイ・アートにおける「新しい女性」

マス・メディアにおける「新しい女性」

 

〇「新しい女性」という言葉が韓国で使用されたのは1910年代のことである。様々な意味があるが、その概念は日本と西洋を経由して導入される。第一は海外に留学、帰国したリーダー的存在、第二に高等女学校を卒業した職業婦人、第三に高等女学校の卒業後、主婦になった者、第四は読み書きのできる女性労働者である。

〇画家として最も注目を集めた女性はナ・ヘソクである。彼女は西洋式に絵を描き、また新しい性道徳の主張と性の平等の信念によっても、後に登場するラディカルなフェミニストの先駆者となった。

〇画題としての「新しい女性」像は多いが、その理由は韓国のアートシーンは1910年代に押し寄せた西洋絵画に強く影響され、画家たちが刺激を受けたのは女性たちの日常生活の姿を好んだ印象主義者たちの作品だったからである。第二の理由は日本画、特に美人画が植民地時代に影響力を増したことによる。

〇一方、新しい女性のイメージを広める重要な役割を果たしたのは新聞・雑誌の挿絵、広告、漫画などのジャンルであった。これらのジャンルではハイ・アートとは対照的に街の女性のイメージに焦点を当てている。