a curator's memorandum

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論文マラソン99 大谷省吾「瑛九から山田光春への書簡 1938-1955年」

大谷省吾瑛九から山田光春への書簡 1938-1955年」(『東京国立近代美術館研究紀要』第24号、2020年)。

 

瑛九(1911-1960)が画家・山田光春(1912-1981)に宛てた書簡を含む資料が平成24年度に東京国立近代美術館に収蔵された。

〇書簡のうち1935-1937年分については「瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす」展の図録に掲載された。

〇1938-1955年の書簡60通を翻刻、紹介している。戦時中の模索、他の作家たちへの複雑な心境が記されている。また戦後はやや間隔が空いているのでなかなか全体像はつかみづらい。が、ほかにも瑛九の書簡を翻刻したものと引き比べることで、全体像が見えてくるのではないか。

〇書簡のほかの翻刻としては兄の杉田正臣による『瑛九抄』に正臣氏宛て書簡などいくつかある。