a curator's memorandum

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論文マラソン106 宮田舞、山内保典、岡田猛「現代美術に対するイメージの変更を支援する:哲学対話ワークショップの手法を用いた現代美術作品鑑賞の提案」

宮田舞、山内保典、岡田猛「現代美術に対するイメージの変更を支援する:哲学対話ワークショップの手法を用いた現代美術作品鑑賞の提案」(大学美術教育学会『美術教育学研究』第49号、2017年)。

 

1. 美術鑑賞のイメージの変更

2. 現代美術の鑑賞活動への哲学対話の導入

3. 方法

4. 結果と考察

5. 総合考察

 

◯対話型鑑賞での現代美術鑑賞に、哲学対話の手法を導入する。

◯美術鑑賞にはこれまでVTSやそれを基盤とした鑑賞の前例がある。しかし一般に分かりづらい現代美術には鑑賞者が意味を読み取るのが難しく対話を促すために、また鑑賞者の葛藤や混乱を受け止めるため哲学対話を導入する。

◯哲学対話では参加者自らの考えたい問いから議論を通して探求が行われる。哲学対話の「なぜ?」という問いは作品解釈の問いではなく、「なぜあなたはそれを疑問に思ったのか」という鑑賞者の気づきの背景に迫るものである。

◯実際に東京都現代美術館が所蔵する山口勝弘作品《Cの関係》を対象に哲学対話を用いて鑑賞を行なった。その結果、作品に対して、自由で多様な解釈が可能になったと参加者のイメージが変わったと報告されている。