a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン1 町村悠香「「生活を、もっと生活を」 戦後教育版画運動から再考する戦後リアリズム美術の系譜」

 

今日の論文は、町村悠香さんの「「生活を、もっと生活を」 戦後教育版画運動から再考する戦後リアリズム美術の系譜」(『彫刻刀が刻む戦後日本 2つの民衆版画運動』図録、町田市立国際版画美術館、2022年)です。

 

1 戦後版画のなかでの2つの民衆版画運動の語られ方

2 戦後版画運動と教育版画運動 表現の連続性

3 運動の担い手の類似点と人的交流

4 2つの民衆版画運動の相違点と限界 創作版画との距離、「生活」の変化

5 まとめ

 

戦後版画のなかで、美術史として無視されがちであった、けれどもサークルや学校教育などを中心に広く普及した「戦後版画運動」と「教育版画運動」について、「生活」のキーワードを手がかりに見直しています。

中国木刻の影響、都市だけではなく各地で様々な担い手による普及の取り組みがあり、生活的アプローチが社会構造の変化によって、意義が薄れていった歴史的経緯について述べられています。