a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

論文マラソン46 中原佑介「「定型」から「非定型」彫刻へ」

中原佑介「「定型」から「非定型」彫刻へ」(『美術手帖』1974年1月)。 ◯1964〜74年の10年間の彫刻について振り返ると、前半では「インヴォルヴ(包み込む)」、後半は「ノンインヴォルヴ」の傾向と述べる。 ◯前者の例として、読売アンデパンダンの工藤哲巳の…

論文マラソン45 小泉和子「芝山象嵌」

小泉和子「芝山象嵌」(『日本の象牙美術』図録、渋谷区立松濤美術館、1996年)。 1 芝山象嵌とは 2 嘱品家と職人 3 内国勧業博覧会審査評語にみる芝山象嵌 4 海外コレクションにみる芝山象嵌 5 芝山象嵌の製造と技術 6 さいごに 〇芝山象嵌についてはあ…

論文マラソン44 高松次郎「“不在体”のために」

高松次郎「“不在体”のために」(『形象』第8号、形象社、1963年5月。『世界拡大計画』水声社、2003年に再録)。 今回は論文ではなく、美術家・高松次郎(1936-1998)が初めて発表した文章であり、60年代のキーワードでもある「不在」が初めて使用されたテキスト…

論文マラソン43 小林純子「「日本画」を纏う工芸―東京絵付と明治前期の応用美術政策」

小林純子「「日本画」を纏う工芸―東京絵付と明治前期の応用美術政策」(『東京都江戸東京博物館研究報告』第2号、1997年)。 はじめに 1 東京絵付の系譜 (1)東京薩摩 (2)ウィーン万国博覧会事務局附属磁器製造所 (3)瓢池園 2 明治前期の勧業政策 (1)観商局長…

論文マラソン42 神谷幸江「1980年代末から1990年代の日本における現代美術表現―新たなメディアとしてのリレーショナルな表現とその背景」

神谷幸江「1980年代末から1990年代の日本における現代美術表現―新たなメディアとしてのリレーショナルな表現とその背景」(『美術フォーラム21』第30号、2014年11月)。 1990年代初頭―オルターナティブ・シーンの熱気 海外から見つめる日本、海外へ発信する日…

論文マラソン41 小林純子「明治期後半の東京の陶磁器産業とその図案の特質」

小林純子「明治期後半の東京の陶磁器産業とその図案の特質」(『鹿島美術研究』年報第16号別冊、1999年11月)。 1 東京の陶磁器産業の状況 2 東京の工芸振興政策 3 迫られる図案の変化 4 古典模倣の行く末 〇明治期において東京は陶磁器の一大産地(全国第…

論文マラソン40 鈴木勝雄「不在の類型学 日本における概念的な芸術の系譜(1)」

鈴木勝雄「不在の類型学 日本における概念的な芸術の系譜(1)」(『東京国立近代美術館研究紀要』第18号、2014年)。 1 問題の所在 2 物質の変容と不在の射程 2-1 1963年の序章 2-2 感覚を超えて―松沢宥の理路 2-3 消滅したものは何か―荒川修作の図式 2-4 影…

論文マラソン39 田中淳「時空を超えて「かたち」をつむぐために」

田中淳「時空を超えて「かたち」をつむぐために」(『時空を超えてつむぐ―多和英子vs放菴・達吉・鉄五郎』図録、多和英子vs放菴・達吉・鉄五郎実行委員会、2015年)。 はじめに 1 多和英子が「かたち」をつむぐ 2 三人の芸術家との「時空をこえた」響きあい ◯…