a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン173 ロザリンド・E・クラウス「第4章 エヴァ・ヘス―コンティンジェント」

ロザリンド・E・クラウス「第4章 エヴァ・ヘス―コンティンジェント」(訳:井上康彦『独身者たち』平凡社、2018年)。

 

〇ドイツ出身でアメリカに亡命した画家、彫刻家であるエヴァ・ヘス(1936-1970)。1960年代後半のニューヨークでミニマリズムのアーティストとして活躍する。

〇1960年代のアメリカでは、批評家だけではなくアーティストたちが自ら話し、書いた時代であった。特に『アートフォーラム』誌はその言説を集中的に掲載した媒体であり、エヴァ・ヘスは《コンティンジェント》を引っ提げ、瞬く間に言葉と作品で世に知られた。

〇ヘスの作品は1960年代の美術をめぐる言説である「ミニマリズム」の概念―順列的な配置とモジュール状の反復の概念、網やグリッドを用いることによって生み出される建築的な尺度と枠組の概念に依拠しているといえる。