論文マラソン8 平瀬礼太「戦争画の行方 1945~現在」
本日の論文は、平瀬礼太「戦争画の行方 1945~現在」(『戦争と美術 1937-1945』国書刊行会、2007年)。
1 GHQ /SCAPの接収
2 各国の要求、そしてアメリカ移送
3 戦争画の「発見」と「返還」要求
4 戦争画の行方
5 おわりに
1945年の終戦後、「戦争画」(アメリカから無期限貸与されている作品群)がどのような経緯をたどってアメリカへ行き、日本に返還されたかを実証的に追っている。
当初は藤田嗣治に依頼して絵画を集めてアメリカで展覧会を開催しようとしていた、とかアメリカだけでなく、オーストラリアやオランダもこれらの作品を獲得したがっていたことを初めて知った。
終戦直後は、戦争画の扱いや位置付けそのものが揺れていた。戦争画は日本美術史における空白、とよく言われるが、実は継続的に関心を集めてきたという指摘にはうなづいた。