a curator's memorandum

1日1本論文を読んでメモする、論文マラソンをやっています。

論文マラソン183 金英那「1930年代、東京の韓国前衛グループ」

金英那「1930年代、東京の韓国前衛グループ」『韓国近代美術の百年』(神林恒道監訳、三元社、2011年)

 

〇1930年代に東京画壇で活動していた韓国の美術家たちを2つに大別すると、1つは帝展、文展に出品したアカデミックな様式の画家たち、もう1つはヨーロッパ近代美術の影響を受け、官展ではなくより小さな前衛グループを中心に活動した画家たちである。

〇小さな前衛グループとは、特に自由美術家協会、美術文化協会、白蠻会が挙げられる。これら前衛のグループ展に参加した韓国人の作品は、印象主義的な作品ではなく、幾何学的抽象あるいはシュルレアリスムに傾いていた。その活動のほとんどが東京で行われていたということは、韓国にそれらを受け入れる素地がまだなかったといえる。